品質月間テーマ
少子化や自然災害の発生、物価高、国際紛争や社会経済的な変化、AIの急激な発展などの環境は加速度的に変化してきています。その中で仕事の喜びや達成感、自己肯定感、心理的安全性が得にくくなり、仕事に矛盾を感じたり疎外感や閉塞感を感じたりするようになってきています。激しい環境の変化の中で行き詰まりが感じられる今だからこそ、この状況を打ち破るための何かが必要とされています。
品質は物事の良し悪しを評価するものであり、人が協力する際の共通の目標やありたい姿を表現するものといえます。良し悪しを評価する品質に着目することで物事を改善し、創造することができます。PDCAや人間性尊重に基づく人財育成、人間力とチーム力の発揮、科学的な問題解決力や品質文化の育成、市場を拓く価値創造やリーダーシップ、AIやDXの活用など品質の力を高めるための考えや方法がそれぞれの場面に応じて豊富に作られてきています。PDCAは不確実な環境の中での管理の考え方を表したものであり、不確実な中での改善によるスパイラルアップ(螺旋階段を上るようにレベルアップ)を目指すものです。閉塞感を感じる今だからこそ現状をよりよくするためにこれからの品質の力を発揮することが期待されます。
激しい環境変化への適応は一筋縄ではいかないかもしれません。一人で現状を変えるのは困難ですし、考え方や方法を形式的に活用するだけではうまくいかないかもしれません。明日という明るい未来に向かって今こそ品質の力をみんなで考え、品質の力を発揮し、行き詰りを打ち破ることが期待されます。この品質月間を機会に一人ひとりが品質に目を向け、品質の意味やその価値を改めて考えることができれば幸いです。
第66回 品質月間委員会委員長
青山学院大学名誉教授 石津昌平
青山学院大学名誉教授 石津昌平